品質を落とさずにお肉を冷凍する方法

冷凍肉

冷蔵保存期間の目安

『熟成肉』『腐りかけが一番美味しい』などといった言葉もありますが、『生肉』は基本的に保管できる期間が短く、冷蔵庫で冷やして保管していても、すぐに品質が低下し、食べられなくなってしまいます。

『冷凍』する事で保管できる期間を延ばす事も可能ですが、冷凍・解凍を行う事で品質が低下する可能性も高いため、冷凍せずとも期限内に使い切れるのであれば、冷蔵のまま保管するのが良い場合が多いです。

まずは、『冷蔵』の状態でどのくらいの期間保管する事ができるのか見てみましょう。

冷蔵保存可能期間

ひき肉・・・1日

鶏の切り身・・・1~2日

豚・牛の薄切り、豚ブロック・・・2~3日

牛厚切り、牛ブロック・・・3~5日

肉の種類による違い

まずは、肉の『種類』(鶏・豚・牛など)によって保存期間が異なります。

肉の水分量が種類によって異なるのが一番の要因です。

鶏 ⇒ 豚 ⇒ 牛の順に賞味期限が長くなっていきます。(鶏が一番短く牛が一番長い)

肉の形状による違い

次に、『お肉の形状』によって賞味期限が異なります。

細かくなるほど、空気に触れる面積が大きくなるため酸化が早く進み、劣化していきます。

ご家庭で扱うサイズのお肉であれば、

ひき肉 ⇒ 薄切り ⇒ 角切り ⇒ 厚切り ⇒ ブロックの順に賞味期限が長くなっていきます。

スーパーなどでお肉を購入される際は、『賞味期限』が記載されているため、感覚的に理解されている方も多いかと思います。

焼肉-kai-で肉の卸屋さんからお肉を仕入れる際、20~30kgの一塊のお肉を真空包装された状態で仕入れていますが、そのサイズになると1ヶ月近く冷蔵状態で保存が可能です。

期限内に使い切れるのであれば、冷蔵保管。

期限内に使い切れない場合は冷凍保管。

という判断を毎回せまられるかと思いますが、ギリギリになって使い切れず冷凍保管に切り替えるよりは、早い段階から冷凍保管する方が良いため、中々難しいものがあります。

冷凍肉になるまでの状態変化

お肉の品質をできるだけ落とさずに冷凍するために、冷凍肉になるまでの変化を理解しましょう。

  • 冷蔵肉・・・-1℃~10℃
  • 半凍結肉・・・-3℃前後
  • 凍結肉・・・-15℃以下
  • 深温凍結肉・・・-18℃以下

冷蔵肉

冷蔵庫で保管している状態、生の状態のお肉です。

細菌の多くは10℃以下の状態で増殖は遅延します。

停止しているわけではないため、時間が経つにつれて状態が悪くなってしまいます。

半凍結肉

-1℃以下になってくると、食肉中の水分が凍り始めます。

-1℃~-5℃の間(最大氷結晶生成温度帯)で水分が結晶化されます。

この『結晶化』が起こる際に周りの細胞を破壊してしまうため、品質の低下や解凍時のドリップ流出につながります。

この-1℃~-5℃の温度帯を短時間で通過することで結晶が大きくならず、細胞の破壊を最小限に食い止めることができます。

『急速冷凍』などという言葉を聞いた事のある方もいらっしゃると思いますが、その定義はこの温度帯を『30分以内』に通過させる事です。

また、普通に冷凍庫に入れて凍結させる方法は『緩慢凍結』と呼びます。

冷凍したお肉をカットする際は、この『半凍結』状態がカットし易いです。

凍結肉

『-15℃』以下のお肉を凍結肉と呼びます。

-15℃以下は、微生物が増殖しにくい温度であり、冷凍保管する食材は、食品衛生法でも-15℃以下にするよう定められています。

深温凍結肉

-18℃以下の状態のお肉を深温凍結肉と呼びます。

法律上は、冷凍保管をする際は、『-15℃以下』で保管する決まりですが、業界の基準は『-18℃以下』での保管と定めています。

冷凍食品などのパッケージを見ると、-18℃以下で保存して下さいといった表記を良く目にするかと思います。

-18℃以下で保存する事で、先ほどの微生物の繁殖を防ぐ効果以外にも、『酸化』や『酵素反応』などを抑制する効果があります。

焼肉-kai-でも、基本的にはチルドの状態でお肉を仕入れますが、一部冷凍状態で仕入れるお肉がありますが、しっかりと真空包装され急速冷凍されたお肉の賞味期限は1年以上です。

ご家庭で保管される際は、開閉による冷凍庫内の温度上昇が起こりやすいため、劣化が進みやすい可能性もあります。

冷凍前に行うべきポイント

空気に触れさせない

ラップで包んだ肉

冷凍保存する際に、品質を劣化させる一番の原因は冷凍焼けではないでしょうか。

冷凍保存しているため、食材中の水分は固まり、留まっている状態と思われがちですが、冷凍状態であっても、食材の水分は失われ乾燥してしまいます。

乾燥し、水分が失われてできた隙間に酸素が入り込み、脂などと反応(酸化)する事で変色してしまうのが『冷凍焼け』の流れです。

乾燥を防ぎ酸化させない事が非常に重要になるため、ラップなどでお肉をしっかりと包み、空気に触れさせないようにした状態で保管する事が大切です。

空気などができるだけ入らないように注意してラップしましょう。

ラップをかけ、ジップロックなどに入れるとさらに効果的です。

一般のポリ袋は空気を通すため、ジップロックや、真空包装袋などを利用しましょう。

大量購入される方は、『真空包装機』の購入も検討してみましょう。

今回は『冷凍』に関するお話ですが、『冷蔵』する際も、真空パックできると非常に便利ですし、保存期間を延ばす事ができます。

小分けにする

再凍結は劣化の原因となるため控えましょう。

冷凍した状態のお肉を使う分だけ取る作業は難しい場合も多いため、使う分だけ『小分け』にするなど、工夫して冷凍しましょう。

また、塊肉などサイズの大きなお肉を冷凍する際は、家庭用の冷凍庫では設定できる温度があまり低くないため、中心まで固めるにはかなりの時間がかかる場合があります。

そういった際も、小分けにし、サイズを小さくする事で、固まるまでの時間を短くする事ができます。

ただし、小分けにする事で、肉の表面積が増えてしまうため、『冷凍焼け』の起こる範囲が広くなってしまうというデメリットもあります。

砂糖水に漬ける

砂糖の親水性(水に溶けやすい)性質を利用する事で、お肉の乾燥を防ぐ効果が期待できます。

100mlの水に200gの砂糖が溶ける程、砂糖は水に溶けやすい性質を持っています。

この特性を活かし、お肉を砂糖水にくぐらせることで、水分の蒸発を防いでくれます。

砂糖水は、1Lの水に対し1gの砂糖程度の濃度で良いため、味に与える影響は少なくてすみます。

下味を付けて冷凍

下味冷凍のメリット

時間の節約

美味しさアップ

長持ち

お肉に下味を付けて冷凍する事で、様々なメリットが生まれます。

事前に解凍しておけば、熱を通すだけの調理で済み、時間の節約ができます。

また、下味を付ける事で、肉の『臭み』が取れたり、『柔らかく』なるなど美味しさアップも期待できます。

醤油や味噌などの調味料に漬込む事で、そのままお肉を冷凍するよりも酸化を防ぐ効果も期待できます。

加熱して冷凍

加熱調理してから冷凍するという方法もあります。

例えば、『挽肉』はそのまま冷凍した際、保存期間は2週間程度とされています。

味付けし、炒めた『そぼろ』を冷凍保存した際の保存期間は、3~4週間と言われています。

購入した日に冷凍

冷凍の保存期間を延ばすためにも、解凍後美味しく食べるためにも、お肉は購入した日に冷凍しましょう。

『冷蔵庫で保管していたが、使い切れず賞味期限ギリギリに冷凍庫へ』といった状況も多いかと思いますが、冷蔵庫内では菌も繁殖し保存に適した状態では無くなってしまいます。

また、発砲スチロールトレーのまま冷凍するのもあまり良い方法ではありません。

発砲スチロールは断熱性が高いため、固まるまでの時間が長くなってしまいます。

急速冷凍に近い状態を目指そう

先ほど述べた通り、-1℃~-5℃の温度帯で水分が結晶化します。

この温度帯を素早く通過する事が出来れば、結晶が小さくなり、劣化を防ぐ事ができます。

そのため、急速冷凍に近い状態を目指しましょう。

重ねない

先ほど『小分け』包装をおすすめしましたが、いくら小分けにしたとしても、冷凍する際に、積み重ねていては、中や下に敷かれたお肉に冷気があたりにくくなってしまいます。

できるだけ、平らに並べて、冷気のあたりやすい配置で並べるようにしましょう。

完全に固まってからは重ねて保管しても構いません。

熱伝導率の高いもの

熱伝導率の高いものを下に敷いたり、挟む事で冷却スピードを上げる効果が期待できます。

ステンレス製やアルミ製のバッドやトレーが販売されていますが、ステンレスよりもアルミの方が熱伝導率が高いため、アルミ製のバッドをおすすめします。

冷えやすい場所

冷凍庫の中でも、冷え易い場所、冷えにくい場所があるかもしれません。

置く場所も考えるようにしましょう。

急速凍結機能を使う

お使いの冷凍庫によっては、『急速凍結』機能の付いたものもあります。

そのような機能が付いている際は、利用してみましょう。

冷凍保存期間の目安

冷凍保存期間の目安としては以下のようになります。

冷凍保存可能期間

ひき肉・・・2週間前後

うす切り肉・・・3週間前後

ステーキ・ブロック肉・・・1ヶ月前後

冷凍保存できる期間は、状況によってかなり違ってきます。

開閉が多く、冷凍庫内の温度が頻繁に上がる際は、保存期間が短くなる可能性があります。

上に挙げたようにしっかりと対策を行っていれば、目安期間よりも長く保管できる可能性もあります。

基本的に、しっかりと-18℃以下をキープしていれば、余程長い期間置いておかない限り、腐るという事はありませんし、菌も死滅はしないものの、増える事もありません。

大きな部分肉の話ですが、業務用の冷凍庫にて2年程保管しているという話も聞いた事があります。

しかし、酸化を抑える事ができる-18℃以下であっても、完全に酸化を抑える事はできません。

長期間冷凍保管する際は-30℃以下にする必要がありますが、家庭用の冷凍庫では-30℃まで冷えるものはあまり無いかと思いますので、年単位での保管は難しいかのしれません。

『酸化』する事で、『臭い』や『味』、『食感』に変化が生じますが、調理方法によっては、ある程度、誤魔化す事も可能です。

また、表面の酸化した箇所をそぎ落とせば、食べられる場合も多いです。

挽肉や薄切り肉は表面積が大きく、薄いため、酸化してしまうと大部分が酸化した状態となってしまうため、保管期間が短いという理由です。

注意していただきたいのは、解凍後はすぐに食べるという事です。

もちろん、解凍後、再凍結した際は品質が大きく低下してしまうため、控えましょう。

記事作成日:2017.02.23
最終更新日:2021.10.20